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知人から紀国の古代女王「名草とべ」について調べてくれと言われた筆者は、用事のついでに、和歌山の神社をまわることにしました。案の定、成果はなし。あきらめて東京に戻ろうとした、その日、筆者は、偶然、伝承保持者の小薮繁喜さんに出会います。そして、そのわずか半年後、決定的な伝承を知る小野田寛郎さん(ルバング島から帰還した小野田さんです)に出会い、小野田家に千年以上にわたって伝わってきた「名草とべ」伝承を採集しました。神武東征の物語の鍵にもなる貴重な民間伝承を三百枚の原稿にまとめた、古代史ファン垂涎のドキュメンタリーです。

著:なかひら まい
写真:小野田麻里
取材協力:小薮繁喜、小野田寛郎

ジャンル:古代史ドキュメンタリー、書籍か電子書籍でリリース予定
言語:日本語
販売エリア:日本
価格:未定
発売:未定


 2006年に、偶然、道端で伝承保持者の小薮繁喜さんとお会いしてから、なかひら まい とぼく、それにフォトグラファーの小野田麻里さんは数奇な運命に巻き込まれていった。こんなことを書くと、おかしんじゃないか、と思われるかもしれないが、2009年までの三年半にわたる取材は「名草とべ」に導かれているようだった。小野田寛郎さんに取材ができることになったときには、本当にそう思ってしまった。
 この伝承の面白さは、負けなかった先住民の物語にある。一般的には、王権側(神武)がやって来て先住民を制圧して国をつくったということになっている。しかし、「名草とべ」の伝承では、負けなかった者たちがたくさんいて、8世紀くらいまでは王権の目をごまかしながら、首尾良くやっていたようだ。先住民や縄文人のイメージは国家に殺された人たちという湿ったイメージで語られるが、調べていくと、それは近代になって植え付けられたものだということもわかった。「名草とべ」の物語とは、とてもタフでおおらかな先住民の姿を映し出すストーリーだ。この作品は、古代史ファンの先入観を覆すものになるだろう。
ぼくらは2009年夏から、この作品を世に出すべく、たくさんの出版社にあたった。しかし、不運にも、出版不況の真っ只中とあって、出版社は「面白い作品」よりも「手っ取り早く儲かる本」にしか興味が向いていなかった。早い話、地方都市の小さな伝承なんか儲からない、というわけだ。
しょうがないので、ぼくらは、ある出版社の賞に駄目もとで応募した。
ところが、その結果を待っているうちに、世の中は電子書籍の時代に突入してしまった。また、その間にも、ぜひ出版したいという方もあらわれた。古代と違って、現代はめまぐるしく状況が変わっていく。
 電子書籍でやるのか、リアル書籍でやるのか。正直、まだ決めかねている。最初に電子書籍で出して、結果が出たら、リアル書籍で出したいという出版社もあらわれるかもしれない。
その前に、小野田麻里さんが「名草とべ」取材で撮った写真集を電子書籍で発表することにした。そこには、なかひら まい が簡単なエッセイをつける。「名草とべ」の基礎知識を得られるような作品にするつもりだ。そして、この小野田さんの写真集をきっかけに、多くの古代史ファンが和歌山の美しい里を訪ねてくれれば、こんなに嬉しいことはない。(写真集についてはこちらをクリック

(文/森内 淳・スタジオ・エム・オー・ジー 代表)




2006年5月7日〜10日
第1回和歌山取材

自由が丘のカフェで
初めて名草戸畔の名前を
知ったのが3月14日。
それから一ヶ月半後、
わたしたちは和歌山へ。
大阪で神奈備氏(古代史研究家)に、
和歌山で古代史にくわしいT氏に取材。
フリーライターのKさん、
CDSカフェのオーナーHさん、
Oさん、写真家の須田郡司氏に話を聞く。
郷土史家・小薮繁喜氏と出会う。
訪れた神社は、
伊太祁曽神社・宇賀部神社・
杉尾神社・千種神社。








2006年6月25日〜28日
第2回和歌山取材

この取材の前、
巨石カメラマン
須田郡司氏の紹介で、
漫画家の美内すずえ氏、
宗教学者の鎌田東二氏に話を聞く。
大阪で「名草」さんに取材。
和歌山では、
小薮繁喜氏(写真)と再会。
ロング・インタビューを敢行。
名草山の周辺を取材。
神社は、吉原・黒江・田尻の中言神社、
冬野の名草神社、竃山神社、日前宮取材。








2006年11月12日〜15日
第3回和歌山取材

この取材の前に
伝承保持者・小野田寛郎氏に取材。
インタビューを敢行。
小野田口伝を採集。
和歌山で宇賀部神社・杉尾神社・
千種神社・名草神社
・高皇神社を撮影。
小薮繁喜氏と
名草山の中腹まで歩く。
日前宮、竃山神社再訪。
和歌山在住の民俗学者・
松原右樹氏に
5時間にわたる講義を受ける。
この旅から
写真家の小野田麻里氏が参加。
編集者のIさんが特別参加。








2007年10月9日〜14日
紀伊半島一周&第4回和歌山取材

なかひらの発案で
名草戸畔の周辺事情について
取材することに。
フォトグラファー・
小野田麻里氏の運転で
紀伊半島を一周する。
伊勢神宮外宮〜内宮、
天の岩戸・風穴〜伊雑宮。
花の窟・橋杭岩・戸畔の森
・赤色の浜・丹敷戸畔の石碑などを取材。
高野山・丹生都比売神社の
宮司さんのお話しを聞く。
大国主神社・加太春日神社など取材。
名草山の頂上まで登山。








2008年5月25日〜31日
九州〜第5回和歌山取材

この取材の前に、
足利の名草巨石群を取材。
今回は名草戸畔のルーツを探る旅。
九州から和歌山まで
西日本を横断。
長崎にて海の神様を取材。
大分で名草のお墓(写真・下)・
宇佐神宮・姫島を取材。
和歌山で大伴系の神社を取材。
夏瀬の森・田殿丹生神社・
吉備名方濱宮・伊勢部柿本神社・
濱宮・伊太祁曽神社などを取材。
CDSカフェにて
名草戸畔研究の中間報告。
お話し会は口コミだけで満員に。
急きょ、マイクをもって
トークライブになりました。
小薮繁喜氏も参加。








2009年3月25日〜28日
第6回和歌山取材

宗教学者・津名道代氏に取材。
3時間、お話を聞く。
伊久比売神社、
吉原・中言神社、内原神社、
宇賀部神社を訪問。
名草山東側のイワクラを訪問。


 参考文献は以下のとおりです。この他に追加された文献があります。とりあえず、初期段階での文献をここにあげ、それぞれの筆者・出版社に感謝の意を表します。

『日本書紀』 『古事記』 『続日本紀』 『紀伊国名所図会』高市志友編 『紀伊続風土記』 『豊後国風土記』 『肥後国風土記』 『出雲国風土記』 『新選姓氏禄』 『本居宣長全集6』本居内遠ほか 『日本地名大辞典』(角川書店) 『姓氏家系大辞典』太田亮 『丹生都姫神社誌』 『中言神社由来記』吉原中言神社所蔵 『名草神社(旧称中言大明神又は中言社)明細帳』名草神社所蔵 『神武天皇御東遷聖蹟考』勝井純(巧人社) 『神武天皇』宮地直一ほか(平凡社) 『名草王國の盛衰』名草杜夫(回天発行所) 『「トベ」達のいた時代』津名道代(野草社「自然生活11」) 『力侍神社』津名道代(未公開論文) 『日本「国つ神」情念史シリーズ 蛇と剣』津名道代(未公開論文) 『宇佐家伝承 古伝が語る古代史』正・続 宇佐公康(木耳社) 『謎の出雲帝国』吉田大洋(徳間書店) 『幸の神と竜』谷戸貞彦(大元出版) 『出雲と大和のあけぼの』斎木雲州(大元出版) 『日本の民話39 紀州の伝説』松原右樹ほか(角川書店) 『日本の民話11 鹿児島の伝説』(角川書店) 『日本の民話49 大分の伝説』(角川書店) 『日本の民話48 出雲・石見の伝説』(角川書店) 『日本の民話32 紀州・美濃篇』 (未来社) 『現代民話考9 木霊・蛇・木の精霊・戦争と木』松谷みよ子(ちくま文庫) 『日本人はるかな旅1』NHK出版 『日本人はるかな旅2』NHK出版 『日本人はるかな旅3』NHK出版 『日本人はるかな旅4』NHK出版 『日本人はるかな旅5』NHK出版 『日本の古代遺跡46和歌山』 森浩一企画 大野嶺夫 藤井保夫(保育社) 『和歌山県の歴史1970年版』(山川出版社) 『和歌山県の歴史2004年版』(山川出版社) 『海南市史』 『和歌山市立博物館研究紀要20』 『日本の神々 神社と聖地6』谷川健一編(白水社) 『日本の古代12女性の力』森浩一編(中公文庫) 『馬・船・常民』網野善彦・森浩一(講談社学術文庫) 『日本社会の歴史』上 網野善彦(岩波新書) 『瀬戸内の民俗誌』沖浦和光(岩波新書) 『竹の民族誌』沖浦和光(岩波新書) 『瀬戸内の海人文化 海と列島文化9』網野善彦ほか(小学館) 『奄美に生きる古代文化』金久正(刀江書院) 『日本の神々』松前健(岩波新書) 『伊勢神宮 東アジアのアマテラス』千田実(中公新書) 『日本の神々』谷川健一(岩波新書) 『神道とは何か』鎌田東二(PHP新書) 『神界のフィールドワーク』鎌田東二(青弓社) 『昔話と日本人の心』河合隼雄(岩波書店) 『日本宗教史』末木文美士(岩波新書) 『ゼミナール日本古代史』上 上田正昭ほか(光文社) 『民衆宗教史叢書 第二十六巻 祖霊信仰』赤田光男編(雄山閣出版) 『鬼が作った国・日本』小松和彦・内藤正敏(光文社) 『吉野ヶ里の秘密』古田武彦(光文社) 『出雲大社』千家尊統(学生社) 『日本超古代宗教の謎』佐治芳彦(日本文芸社) 『古代王権と難波・河内の豪族』前田晴人(清文社) 『紀伊古代史研究』栄原永遠男(思文閣出版) 『謎の画像鏡と紀氏』日根輝己(燃焼社) 『謎の古代豪族紀氏』(財)和歌山文化財センター編(清文社) 『謎の巨大氏族・紀氏』内倉武久(三一書房) 『世界宗教史1』ミルチア・エリアーデ(ちくま学芸文庫) 『シャーマニズム』上 ミルチア・エリアーデ(ちくま学芸文庫) 『母権論序説』バハオーフェン(創樹社) 『古代・王朝人の暮らし』日本風俗史学会編(地歴社) 『海の民俗学』牧田茂(岩崎書店) 『熊野の謎と伝説』澤村経夫(工作社) 『隼人の古代史』中村明蔵(平凡社) 『葛城と古代国家』門脇禎二(教育社) 『徐福集団渡来と日本国家』いき一郎(三一書房) 『中国少数民族の婚姻と家族』下巻 巌汝嫻(第一書房) 『大和誕生と水銀』田中八郎(彩流社) 『熊野の太陽信仰と三本足の烏』萩原法子(戎光祥出版)ほか
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